キャンディ塗装の2層目はメタリック塗装です。一言でシルバーといっても、今は沢山の種類のシルバー塗料があります。いつの間にこんなに増えていたのかと、正直驚きました。なんせ、20年以上前の記憶がベースになっているものですから・・・。
下地と塗料の組み合わせで、下のようなサンプルをまず大量に作りました。A~B'までの20種類を15本ずつ用意しました。
すべて、塗料と下地の組み合わせを変えてあります。それぞれの15本は、同じ塗装を施した20本のスプーンの中から、同じ仕上がりになったものをピックアップしています。
失敗も含めて全部で400本ほど塗装しました。下地とメタリックの二層ですからこの時点で800本ほど塗装したことになります。この過程でずいぶんエアブラシの扱いに慣れました。
毎晩こんなのが机の上にびっしり並んでいて、家族からは不評でした。
メタリックの希釈は5倍に固定
メタリック塗料の希釈はすべて5倍希釈(原液1:うすめ液4)で行いました。使用しているうすめ液は、クレオスさんの塗料はクレオスさんのうすめ液で、ガイアさんの塗料はガイアさんのうすめ液を使用しています。エアブラシ用のうすめ液を使用しましたが、メタリック塗料用などの特別なうすめ液は使用していません。
通常塗料の希釈は2倍(原液1:うすめ液1)程度という情報が多いのですが、そうねんは基本それよりもやや薄め、2.5倍~3倍(原液1:うすめ液1.5~2)で使用しています。適正な希釈の割合は、エアブラシの性能次第なのかもしれません。
ことメタリック塗料については4倍(原液1:うすめ液3)以上に希釈しないと表面が荒れたり、エアブラシが詰まったりしました。逆に6倍(原液1:うすめ液5)まで薄めると垂れやすくなったり、塗膜の中でメタリック塗料が動く様子が見えるようになり均一に塗装するのが難しくなりました。
今回の検証では、メタリック塗装の希釈は5倍(原液1:うすめ液4)で統一することにしました。
下地塗料
使用したのは次の2種類です。
・クレオスC2ブラック(以下:C2黒)
・ガイアカラー032アルティメットブラック(以下:アル黒)
下地色の塗装条件については前回の記事を参照してください。
〇キャンディ塗装のカラーサンプルを作る(1) 下地黒の塗装条件を検証
それでは結果をピックアップして紹介していきます。
シルバー系塗料
使用塗料
・クレオスC8シルバー(以下:C8シルバー)
・クレオスC159スーパーシルバー(以下C159スーパー)
・ガイアカラー121スターブライトシルバー(以下:スタシルバー)
1.左B'と右B(下地の仕上がりの差)
左B':C2黒(梨地)→C159スーパー
右B:C2黒(つやあり)→C159スーパー
前回の記事で紹介した、下地のC2黒が梨地になったB'、つやありに仕上がったBです。この明るさの写真だとわかりにくいですが、肉眼では左B'は全体的にざらついて見えます。
以下のC2黒はすべて「つやあり」仕上げにできたものを下地にしています。
2.左B、中H、右M(C159スーパー比較)
左B:C2黒→C159スーパー
中H:黒サフ→C159スーパー
右M:アル黒→C159スーパー
黒サフを下地にすると、梨地C2黒よりは目は細かいものの、明らかにくすんだ感じを出すのにはいいかもしれません。M(下地アル黒)は、B(下地C2黒)に比べてスプーンの淵に向かっての明暗グラデーションのかかり方に違いが見られます。下地の色の影響は、斜めから見た時の色味に影響が大きいと感じました。
3.左A、中B、右C(クレオスシルバー比較)
左A:C2黒→C8シルバー
中B:C2黒→C159スーパー
右C:C2黒→C104ガンクロ
クレオスのシルバー系塗料の比較です。右に行くにつれて黒みが増していきます。見た目には、凄みが増していくように感じました。
4.左A、右N(スターブライト)
左A:C2黒→C8シルバー
右N:C2黒→スタシルバー
ガイアさんのスターブライト系の塗料は本当にギラギラ感があります。メッキとまではいきませんが、それに近い雰囲気があります。同じシルバーでも場所に応じた使い分けができそうです。
5.左N、右O(スターブライトの下地)
左N:C2黒→スタシルバー
右O:アル黒→スタシルバー
スターブライトシルバーは、C159スーパーシルバーほど下地の黒さの影響をあまり感じませんでした。
ゴールドとカッパーの下地の影響
使用塗料
・クレオスC9ゴールド(以下:C9ゴールド)
・クレオスC10カッパー(以下:C10カッパー)
6.左A、中D、右F(クレオスメタリック)
左A:C2黒→C8シルバー
中D:C2黒→C9ゴールド
右F:C2黒→C10カッパー
クレオスの初期からあるメタリック三兄弟です。なんというか、金属色の中にも落ち着きと、どことなく品位を感じます。長く愛されている理由が分かります。
7.左D、右J(ゴールドの下地)
左D:C8黒→C9ゴールド
右J:C3レッド→C9ゴールド
クレオスさんのC3レッドを下地にすると、全体的に赤みを帯びたゴールドになりました。とくに、スプーンの淵に向かって赤みを帯びて見えます。全体的な印象として、赤い漆器に金箔が貼られているような、おめでたい雰囲気になりました。ここでも、斜めから見た時の下地の影響の大きさが分かりました。
8.左F、右L(カッパーの下地)
左F:C8黒→C10カッパー
右L:C3レッド→C10カッパー
カッパー(銅)は隠ぺい力が弱いのか、より大きく赤の影響を受けました。肉眼では、ちょっと古くなった10円玉と、新品の10円玉くらいの印象の差になりました。赤にカッパーはいつか使ってみたい組み合わせです。何に合うかな・・・。
ゴールド系塗料
使用塗料
・クレオスC9ゴールド(以下:C9ゴールド)
・ガイアカラー122スターブライトゴールド(以下:スタゴールド)
9.左D、右R(スターブライト)
左D:C2黒→C9ゴールド
右R:C2黒→スタゴールド
スターブライト系は安定のギラギラ感です。鹿苑寺金閣のような圧倒的な存在感があります。
10.左R、右S
左R:C2黒→スタゴールド
右S:アル黒→スタゴールド
スターブライトゴールドは、スタシルバーよりも下地の黒さの差がはっきりと表れました。アルティメットブラックとの相性は 抜群で、ギラギラ感に磨きがかかり、凄みのあるゴールドになりました。
アイアン系塗料
使用塗料
・クレオスC61焼鉄色(以下:C61焼鉄)
・クレオスC28黒鉄色(以下:C28黒鉄)
・ガイアカラー125スターブライトアイアン(以下:スタアイアン)
11.左C、中E、右P
左C:C2黒→C104ガンクロ
中E:C2黒→C61焼鉄
右P:C2黒→C28黒鉄
シルバーで一番黒っぽかったガンクロームと、焼鉄色、黒鉄色です。焼鉄色はメタリックの中では際立ってマットな仕上がりになりました。逆に、黒鉄色はクリアコートしたような仕上がりになりました。
12.左E、右K
左E:C2黒→C61焼鉄
右K:下地なし→C61焼鉄
メタリック塗料は基本的に隠ぺい力が低いのですが、特に焼鉄色は下地の影響が極めて大きそうです。下地がないと、紙に書いた線ががっつり透けて見えました。
13.左P、右Q
左P:C2黒→C28黒鉄
右Q:アル黒→C28黒鉄
黒鉄色も、下地の黒さの影響が見て取れました。「並べればわかる」という程度の差で写真では少しわかりにくいですが、P(下地C2黒)よりも、Q(下地アル黒)の方が、淵に向かってより黒く沈み込んでいるように見えます。
14.左E、中Q、右T(アイアン系塗料)
左E:C2黒→C61焼鉄
右Q:アル黒→C28黒鉄
右T:アル黒→スタアイアン
一番右のTのサンプルは冒頭のサンプル全体写真には入っていません。スターブライトアイアンもまた、ギラギラしていますが、アイアン系の塗料の中では一番金属感がありました。
まとめ
15.A
A:C2黒→C8シルバー
クレオスさんのC8シルバーは、昔から知っている色ということもあるかもしれませんが、一番しっくりくる安定感があります。さすがのロングセラーです。
16.左O、中T、右S
ガイアさんのスターブライト系のギラギラ感が、この後クリアカラーを乗せた時にどのように見えてくるのかがとても楽しみです。
次回は、これらのメタリック塗料の上にクリアカラー塗料を吹いていきます。
使用しているエアブラシセットは、エアテックスさんから出ている「メテオ」です。