そうねんのんびり創作記

のんびり作ったものをのんびり紹介します。

つや消し塗料と汚し塗装の組み合わせサンプルを作る(2) ウェザリング塗装につや消し

つや消し塗料の比較が終わったので、いよいよ本命、汚し系塗料(以下ウェザリング塗料)とつや消しトップコートの相性について検証しました。

 

詳しい塗装条件や、つや消しクリアーの比較は過去記事を参照してください。

<過去記事>

〇つや消し塗料と汚し塗装の組み合わせサンプルを作る(序) 塗料選択と塗装作業

〇つや消し塗料と汚し塗装の組み合わせサンプルを作る(1) つや消しクリアーを比較

 

基本色としてガイアノーツさんのアルティメットブラックを塗装したスプーンに、ウェザリング塗料を乗せました。今回試したウェザリング塗料は次の3つです。

ウェザリング塗装につや消しサンプル

画面右半分

→Mr.ウェザリングカラーマルチホワイト

画面左下

タミヤエナメル塗料XF-2フラットホワイト

画面左上

タミヤウェザリングマスター(Bセット)スノー

 

 

なお、つや消しクリアーのうすめ液にはクレオスさんのレベリングうすめ液、水性ホビーカラーうすめ液、ガイアさんのブラシマスターを使用しています。検証の結果、ウェザリング塗料に対するうすめ液による差も感じたので、結果に併記していきます。

 

 

結果

まずは一覧でご覧ください。

ウェザリング塗装につや消しつや消し塗料比較表示

ウェザリング塗装につや消しA ウェザリング塗装につや消しB ウェザリング塗C

ウェザリング塗装につや消しD ウェザリング塗装につや消しE ウェザリング塗装につや消しF

ウェザリング塗装につや消しG ウェザリング塗装につや消しH ウェザリング塗装につや消しI

それでは1つずつ確認していきます。

「うすめ液の種類」

ウェザリングカラーマルチホワイト(右半分)

②エナメルフラットホワイト(左下)

ウェザリングマスター(B)スノー

の順に肉眼での見え方の感想を書いてみます。写真と多少ギャップがあるので、参考程度にご覧ください。

 

A:クレオスMrトップコートプレミアムクリアーつや消しスプレー

ウェザリング塗装につや消しA

①筆目の濃淡が大きくなり、筆目が目立つようになりました。全体的に白色が沈んでしまった結果、濃い部分だけが残った感じでしょうか。

②全体としてぼやけた印象になりました。濃淡の境目がグラデーションのようになりました。

③面に乗っていた粉はほぼ吹き飛んでしまい、跡形もありません。エッジに多量に乗っていた部分のみかろうじて残っています。

 

B:クレオスC182 スーパークリアーつや消し

ウェザリング塗装につや消しB

うすめ液「クレオスレベリングうすめ液」

①つや消し前と比べて筆目が目立つようになりました。薄く塗料が乗ったところが消え、濃いところだけが残った印象です。

②つや消し前とつや消し後で印象があまり変わりません。全体的に少し白味が増し、下塗の黒がぼやけました。全部の組み合わせの中で、一番つや消しクリアーによる変化が少なかったように感じます。

③細かい粉は飛んでしまったものの、うっすらと粉っぽさが残りウェザリングの体裁を保っています。しかし、ウェザリングマスターの粉末が乗っていたところだけ不自然にざらついた印象になっています。その部分だけ塗料のノリが悪くなったような感じです。写真左上の傷のように見える部分なのですが、傷ではなく塗装面が荒れている様子です。汚したというより、失敗したようにみえます。

 

C:クレオスGX114 スーパースムースクリアーつや消し

ウェザリング塗C 

うすめ液「クレオスレベリングうすめ液」

①全体的に溶け出して、筆目が乱れ、塗料が流れたような跡が見られました。写真下端の白くなっているところは、光の反射ではなく白い塗料が窪みに溜まっている様子です。(B)と同じ乾燥時間、同じうすめ液で試しています。塗料の差なのか、局所的に吹き付け過ぎたなどの技術的な問題なのかはわかりませんが、ウェザリングカラーがラッカー塗料によって浸食されることはよくわかりました。

②(B)と大きな差は感じません。エナメル塗料はラッカーで重ね塗りは避けた方がよいと言われますが、完全乾燥させた後であればウェザリングカラーよりも耐性が高いように感じました。

③薄く粉が乗っていた部分はほぼ見えなくなってしまいましたが、ある程度の粉っぽさは残っています。ただ、(B)と同様に塗料のノリが悪くなり、塗装に失敗した感が出てしまいました。

 

D:ガイアノーツEX04フラットクリアー

ウェザリング塗装につや消しD 

うすめ液「ガイアブラシマスター」

①(B)、(C)と比べると、解けて流れた感じはしません。ただ、これまで同様やはり濃淡のコントラストが際立ち、筆目は強調されました。特徴的だったのは、乾燥後、ウェザリングカラーの塗膜がひび割れたことです。これは、次の(F)でも同様の現象が見られました。一方、塗料が溶けて流れたような形跡は見られませんでした。

②濃い部分も薄い部分も総じて淡い印象に落ち着きました。汚し塗装としての効果は半減するものの、全体として馴染んだ印象になったので悪くありません。はっきりと色味は薄くなりました。これをコントロールできれば、いい味が出せそうな印象はあります。

③(A)と同じようにはっきりと薄くなりました。スプーンの淵にかろうじて残っている程度です。しかし、こちらの場合は塗料のノリが悪くなるという印象はありませんでした。ウェザリングマスターが乗っていたところも、ムラなくコートできています。

 

E:ガイアノーツEX04フラットクリアー+クレオスH189フラットベースなめらかスムース

ウェザリング塗装につや消しE   

うすめ液「ガイアブラシマスター」

①(D)同様に解けて流れた感じはしません。(D)よりも照り返しが少ない分、白い塗料が鮮やかに見えます。しかし、(D)同様に乾燥後にウェザリングカラーのひび割れが発生しました。この辺り、うすめ液の性能の差を感じます。実はこのひび割れが発生したのは(D)と(E)のみで、いずれもガイアさんのうすめ液を使ったときでした。

②(D)と比べて照り返しが少なくなったことにより、白味が増したように見えます。溶けて流れるような様子は見られませんでした。淡くグラデーションが残る感じと白さの残り具合としては、エナメル塗料の残り方としては一番バランスが良いように感じました。

③照り返しが弱くなった分、粉末の残骸を確認することができました。つや消し塗料の下に埋もれてしまった感じでですが、細かい粉末がうっすらと残りかすかに白さが残っています。沢山つけた上からコートすることで一定の汚し効果は得られそうです。

 

F:クレオスGX114 スーパースムースクリアーつや消し(Cより高濃度)

ウェザリング塗装につや消しF 

うすめ液:クレオスレベリングうすめ液

①全体的に溶け出して、筆目が乱れ、塗料が流れたような跡が見られたのは(C)と同様です。(C)よりもつや消しクリアーが高濃度のため、黒部分の白味が増した分コントラストは低くなったように見えます。

②①同様、(C)よりもつや消しクリアーが高濃度になった分、黒部分の白味が増し、その分エナメル塗料の白はやや沈んで見えます。しかし、照り返しがなくなったことで輪郭ははっきりした印象です。エナメル塗料に対する侵食は見られず、上手くぼやけて汚し塗装としてはいい感じです。

③照り返しが小さい分、粉っぽさを残しつつもぼやけた感じに汚し塗装が残っています。乗せた塗料の量に対して残る粉は非常に少ないものの、うっすらと残したいときにはありかもしれません。

 

GとH:クレオス水性ホビーカラーH20 つや消しクリアー

Gウェザリング塗装につや消しG 

Hウェザリング塗装につや消しH

うすめ液「水性ホビーカラーうすめ液」

①全体的に少しずつ溶けてにじんでいるように見えます。塗装した淵に塗料がたまっているのが分かります。水性ホビーカラーは下地を溶かすことが少ないと思っていたのでこれは意外でした。

②エナメル塗料を塗った時の状態が比較的保たれているように思います。筆目が不自然に浮き出ることも、ぼやけすぎることもなく、作った姿をそのまま保存したいときにはベストの組み合わせだと感じました。

ウェザリングマスターの塗料は、ラッカー系と比べると圧倒的な量残っているのですが、流れてしまっているように見えます。また、(G)や(H)に見られる波線は前回のつや消しクリアーのみでもわずかに表れていたものなのですが、ウェザリングを施すことによってそれが倍増しました。水性つや消しクリアーの難しさをさらに痛感したサンプルになりました。

ウェザリングなしのつや消しクリアーの結果については過去記事を参照してください。

<過去記事>

〇つや消し塗料と汚し塗装の組み合わせサンプルを作る(1) つや消しクリアーを比較

 

I:クレオス水性ホビーカラーH30 光沢クリアー+H104プレミアムフラットベース

ウェザリング塗装につや消しI 

うすめ液「水性ホビーカラーうすめ液」

①若干溶けてにじんでいるように見えますが、筆目が大きく目立つこともなく塗装自体は安定しているように見えます。(C)のように溶けて広がっていったり、(D)のように割れたりすることはなさそうです。

②白い塗装部分の下部が色濃くなっているのはもともとのエナメル塗装が下に流れて乾いてしまったためです。筆で厚塗りしすぎたのと、乾燥時に立てて置いてあったのが原因です。しかし、そんな元々の塗装の粗がそのまま保存されています。

③(G),(H)と同じうすめ液を使ったのですが、今回はそこまで流れた印象はありません。ただし、粉っぽさも失われ、スプーンの淵にわずかに残るのみとなりました。こうなると、(G),(H)の結果はうすめ液に溶けて広がったものとは思えません。正直なところ、(G),(H)で何が起こっていたのかは本当によくわかりませんでした。

 

以上、長くなりましたが、今回の結果でした。簡単にまとめると、

1.つや消しクリアーを吹くと、組み合わせによらず汚し塗装は総じて色味が淡くなった。場合によっては見えなくなった。

2.ウェザリングカラーはつや消しクリアーによって溶けたり割れたりすることがあった。

3.エナメル塗料は思っていたよりラッカー溶剤への耐性が強かった。

4.ウェザリングマスターはエアブラシによって吹き飛んでしまった。

5.水性つや消しはウェザリングカラー、エナメルともに安定する可能性が高いが、要練習。

 

まだまだ、汚し塗料についての自分なりの最適解は見つかっていませんが、この辺りを目安に、これからも汚し塗装について自分なりの方法を模索していこうと思います。あくまでも個人の感想で恐縮ですが、何かの参考になれば幸いです。

 

さ~て、次は何を作ろうかな。

 

おまけ

ウェザリングマスターは塗装というよりも粉が乗っているだけです。そこで、つや消しクリアーを吹く前に、ティッシュウェザリングマスターを拭き取ってみました。スプーン左上の隅にご注目ください。

ウェザリング塗料のふき取り ウェザリング塗料のふき取り

(左)ふき取り前 (右)ふき取り後

なんということでしょう、粉の一かけらも残らずにきれいさっぱりなくなってしまいました。これならば、エアブラシでシューっと吹けば飛んでいったり、流れていってしまったのは納得です。

 

そうねんはプラモデルを作っても部屋に飾ってあるだけなので、ウェザリングマスターで汚したところに触らないようにすれば済む話です。とはいえ、あまりにも簡単に剥がれてしまうのはもったいないので、少しは保護できるようになりたいとも思います。つや消しで表面を荒らしてからウェザリングマスターを乗せればもう少し定着するような気がするので、そのうち試してみようと思います。