そうねんのんびり創作記

のんびり作ったものをのんびり紹介します。

キャンディ塗装のカラーサンプルを作る(1) 下地黒の塗装条件を検証

キャンディ塗装の色合いには、下地となるメタリック塗装が大きく影響します。そして、メタリック塗装はさらにその下地塗装の影響を受けます。これはメタリック塗料の隠ぺい力(下地の色を隠す力)が弱いことが原因です。

 

メタリック塗装に対する下地の影響

クレオスC8シルバーを同程度の塗膜の厚さになるよう、透明なスプーンに塗装しました。

 

「下地なし」と「下地黒あり」を比較すると下写真のようになります。

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左:下地なし 右:下地黒あり

下地がないと、定規の数字が読めるくらいに透けてしまうのがわかります。透けないようにシルバーを塗るには相当に厚い塗膜を作らなければなりません。

下地を黒にしておくと明暗のコントラストがはっきりして金属光沢が際立って見えます。そのため、メタリック塗装の下地には黒を使用することが多いようです。

 

下地塗装の状態による影響

クレオスC2ブラックを下地としてその上にC159スーパーシルバーを塗装しました。 

  

 

下の写真は、同じ塗料で塗装した2本です。同じ塗料でも、ライトの写り方に差があります。これは、下地黒の塗装が光沢にできたか、曇っていた(いわゆる梨地)かの違いです。

キャンディ塗装下地黒塗装条件

左:下地が光沢 右:下地が曇っていた

光源のライトの映り方が、左は輪郭が見えるのに対し、右は輪郭がぼやけています。塗装面に細かい凹凸があると光を乱反射して像がぼやけます。同じ塗料を使っても、メタリック塗装では下地の凹凸により仕上がりに差が生じることがよくわかりました。

写真は映ったライトの輪郭を見やすくするため光量を落としていますが、肉眼ではすこし曇ったシルバーに見えます。メタリック塗装は下地の影響を受けやすいことがわかったので、まずは下地塗装のサンプルを作ることにしました。

 

下地黒の塗料と塗装の条件

塗料は次のものを比較しました。

キャンディ塗装下地黒塗装条件

左:クレオスC2光沢黒

中央:クレオス黒サフ(1500)

右:ガイアカラー032アルティメットブラック

 

使用したうすめ液は次の2種類です。

キャンディ塗装下地黒塗装条件

左:クレオス レベリングうすめ液

右:ガイアカラー ブラシマスター

それぞれの塗料を同じ会社のうすめ液で希釈しました。どちらを使っても問題ないという話も聞くのですが、やはり、自社製品に最も合うように調整されているだろうと思い、同じ会社の製品を組み合わせて使用しています。

 

使用するエアブラシセットはエアテックスさんから出ている「メテオ」です。

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メテオでは3段階の圧力調整ができます。いろいろ試しましたが、そうねんは基本的に最も高い圧での使用に行きつきました。付属のハンドピースのノズル口径は0.3mmです。この後の作業はすべて最高圧で口径0.3mmで行っています。

 

パーツとノズルの距離は近めと遠めで一定になるように条件を固定しました。

近め:パーツとノズルの間が7~8cm程度

遠め:パーツとノズルの間が10cm以上

 

塗膜の厚さもできるだけ一定にしたかったので、濃度、距離にかかわらず塗料を吹き付ける回数は3回としました。

 

塗料の種類・希釈・吹き付けの距離を変えて、目立った差が認められたのが次のA~Dです。いずれも、透明なスプーンに直接それぞれの黒塗料を塗装しました。

キャンディ塗装下地黒塗装条件

 

AとB:希釈と吹き付け距離

AとBは同じ塗料で希釈の割合と距離を変えた結果、一番差が大きかった2本です。どちらもクレオスC2黒をクレオスうすめ液で希釈しました。

キャンディ塗装下地黒塗装条件

左A:距離遠め、原液:うすめ液=1:3(4倍希釈)

右B:距離近め、原液:うすめ液=1:2(3倍希釈)

光沢に塗装するには、「薄く、遠く」が基本と思っていたのですが、距離を遠め(10cm以上)にして4倍希釈で塗装したのがA(写真左)です。見るからに凹凸のある見事な梨地に仕上がりました。一方、一番光沢が出たのがB(写真右)です。Bは塗料を3倍に希釈し、距離を7~8cm程度まで近づけて塗装しました。何度か試した結果、クレオスC2黒はBの条件が最も安定して光沢感を出すことができました。

 

BとC:光沢黒と黒サフ

BとCはクレオスNo.2と黒サフの比較です。

キャンディ塗装下地黒塗装条件

左B:クレオスNo.2黒、距離近め、原液:うすめ液=1:2

右C:黒サフ、距離近め、原液:うすめ液=1:3

黒サフは思っていた以上にマットな仕上がりになりました。光の反射によっては灰色に見えます。

 

BとD:塗料ごとの黒さの違い 

キャンディ塗装下地黒塗装条件

左B:クレオスC2黒、距離近め、原液:うすめ液=1:2

右D:ガイアカラー032アルティメットブラック、距離近め、原液:うすめ液=1:3

同じ黒塗料でもこんなに違うのかと驚いたのがこの2本です。C2黒も十分黒いと思っていたのですが、アルティメットブラックと比較すると、もう灰色とすら思えます。アルティメットブラックの方が、うすめ液の割合が高いにも関わらず、この黒さです。アルティメットの名にふさわしい、驚きの黒さでした。

 

 

「下地には黒」といっても、塗り方や塗料の種類でこうも違いがあることが分かりました。これらの黒を下地として、次はメタリック塗装のカラーサンプルを作ります。