キャンディ塗装は、メタリック塗装にクリアカラーを重ねて透明感、光沢感を持たせる塗装です。ではそもそもただのクリアーを吹くとどうなるのか。もしかしたら金属の光沢感が増していい感じになるのではないかと思い、試してみました。
使ったのはクレオスC46クリアー(透明)です。うすめ液はクレオスさんのレベリングうすめ液を使用しました。
塗装の条件は次の通りです。
〇塗料希釈 原液:溶剤=2:3
〇エアの圧 エアテックス「メテオ」の最高圧
〇口径 0.3mm(メテオ付属のハンドピース)
パーツとの距離は10cm程度を維持。全体に光沢感がでるように吹き付ける作業を2回繰り返しました。
以下、読みやすさのため「クリアー」は「クリア」と表記します。また、今回の記事では、映り込んだ蛍光灯の形状で光沢感を見比べるため全体的に写真を暗めに設定しています。
メタリック塗装にクリア
写真:全サンプル比較:上段がクリア前、下段がクリア後
写真で全体を見ると一見大きく違わないように見えますが、肉眼で見ると映り込んだ映像の解像度に大きな違いがありました。サンプルKが違いが見えやすいでしょうか。
それでは、ピックアップして紹介します。
1.C8シルバーにクリア後(左)とクリア前(右)
C8シルバーにクリアを吹きました。光沢感がでて映像の映り込み方が変わりました。ただ、メッキのようになるわけではなく、透明なコーティングが一枚乗った感じです。まぁ、クリアを吹いたわけですから当然といえば当然なのですが・・・^^;
これは全サンプルに共通することで、メタリック塗装にクリアを塗装すると、つやありには仕上がるのですが、思っていた「金属の光沢感」とは少々異質なものになりました。
2.スーパーシルバーの下地違い(上段クリア後、下段クリア前)
4種類のC159スーパーシルバーを比較しました。左から、下地がC2黒(光沢)、C2黒(梨地)、黒サフ、アルティメットブラックです。スーパーシルバーへの下地の影響については過去の記事を参照してください。
〇キャンディ塗装のカラーサンプルを作る(2) 金銀銅鉄系のメタリック塗料を検証
透明なコーティングが一枚乗るだけなので、メタリックの状態が変わるわけではありません。クリアコートによって多少表面がなじんだのか、像の写り方の差は小さくなりましたが、色味には下地の影響がそのまま残りました。
3.ゴールド、カッパー、焼鉄色(左上クリア後、右下クリア前)
クレオスのC9ゴールド、C10カッパー、C61焼鉄色です。表面に一枚、クリアのコーティングがかかっているのがわかります。ただ、シルバーほどは目立ちません。一番印象が変わったのが焼鉄色でした。メタリックながらつや消しのような印象だった焼鉄色は、クリアによって薄い色の黒鉄色のような印象になりました。
4.スターブライトシルバー、スターブライトゴールド(上段クリア後、下段クリア前)
もともとギラギラ感の強いこの2つについては、クリアによる印象の違いは小さいです。スターブライトシルバーが一番メッキ調に近づいたように思います。この2つに比べると、他のメタリック塗料にクリアを吹くと、いかにも「コーティングされてます」という感じがします。スターブライト系はクリアコートとの相性がいいように感じました。
5.スターブライトシルバー(上クリア後、下クリア前)
スターブライトシルバーのクリアコートとの相性の良さを示す写真を一枚です。スターブライトシルバーに溶剤容器の印刷を映してみました。メッキとまではいきませんが、スターブライトシルバーにクリアを吹くと非常にキレイに映り込みします。とはいえ、クリア前でもなかなかの解像度です。
6.黒鉄色と焼鉄色(上段クリア後、下段クリア前)
焼鉄色が大きく印象が変わったのは前述のとおりですが、逆に黒鉄色は全く印象が変わりませんでした。もともとがキャンディ塗装のような仕上がりになっていたので、少し表面が整った程度の変化です。
7.下地黒にカッパー(左)、下地赤にカッパー(右)
目を引いたのが、下地の色を変えたC10カッパーです。上段がクリア後です。クリアを吹くと下地の色の影響が大きくなったように見えました。クリア層が乾燥する前にメタリック塗料の金属粒子の隙間が広がったのでしょうか。
まとめ
メタリック塗料にクリアを吹くと、クリア層があることがはっきりわかる結果になりました。まさに、「無色のキャンディ塗装」です。(そりゃそうか@@;)塗装面としてはとてもキレイに仕上がりますが、金属的な表現からは離れる結果になったと感じたので、使う場面を選んでいきたいと思います。
そうねん的には、クリアは外装パーツ向きの塗装で、内部フレームなどに金属感を持たせたいときは向いていない印象です。塗膜も厚くなりますし・・・。しかし、メタリック塗装は塗膜が弱く、保護としてクリア層を作るのもありなので、迷うところです。
キャンディ塗装にクリア
前回作成したディープクリアレッド(2回塗り)にクリアを吹いて比較します。クリアの塗膜を作ることによって色味がどの程度変わるのかを検証しました。
ディープクリアレッドによるキャンディ塗装については過去の記事を参照してください。
〇キャンディ塗装のカラーサンプルを作る(3) ディープクリアレッドの塗り重ねを検証
写真:全サンプル比較:左上がクリア後、右下がクリア後
色味の違いはほとんどわかりません。ちょっと拍子抜けするくらい、変化がありません。
いくつかピックアップしてみます。
1.下地がシルバー(左)、ゴールド(中)、カッパー(右)(上段クリア後、下段クリア前)
赤の色味としてはクリア塗装の前後でほとんど差がありません。肉眼で見れば塗膜が厚くなっているのはわかります。写真ではカッパー(右)が顕著にわかりますが、表面は少々整ったように感じます。
2.下地がスターブライトシルバー(左)、スターブライトゴールド(右)(上段クリア後、下段クリア前)
スターブライト系でも同様です。
クリアレッドの塗膜の上にクリア層を乗せると、少々表面が整ったピースはあったものの、色味にはほとんど差がありませんでした。あまりにも差がないので、他のサンプルは割愛します。
鏡面仕上げやデカールの段差を消すためにクリア層は不可欠です。これで、クリアカラー層の色味への影響を考える必要なく、安心してクリアを吹くことができそうです。今はクリア塗料にもいろいろな種類がありますので、そのうち試してみたいと思っています。
使用しているエアブラシセットは、エアテックスさんから出ている「メテオ」です。
次回はゴールド系のカラーサンプルを作ろうと思います。