引き続き、キャンディ塗装の色味のコントロールを目指して、メタリック塗料とクリア塗料の組み合わせを検証していきます。
今回はブラックの色味を検証するために、以前に作ったメタリック塗装の上に、クリアブラックを塗装します。使用したのはクレオスさんのGXクリアブラックです。
下地とメタリック塗装については、過去の記事を参照してください。
〈過去記事〉
〇キャンディ塗装のカラーサンプルを作る(1) 下地黒の塗装条件を検証
〇キャンディ塗装のカラーサンプルを作る(2) 金銀銅鉄系のメタリック塗料を検証
塗装の条件はこれまでのクリア系塗料と同じです。
〇塗料希釈 原液:溶剤=2:3(溶剤は「Mrカラーレベリングうすめ液」)
〇エアの圧 エアテックス「メテオ」の最高圧
〇口径 0.3mm(メテオ付属のハンドピース)
パーツとの距離は10cm程度を維持。全体に光沢感がでるように吹き付ける作業を1回とし、1回塗装、2回塗装を作成しました。
この条件で、以前に作ったメタリック塗装スプーンの上にクリアブラックで塗装して、キャンディ塗装にしていきます。
全体比較
クリアブラックの1回吹き、2回吹きを比較します。
全体図1:1回塗装
全体図2:2回塗装
1回塗装の印象は全体的に青みがかった黒になるということです。クリアブラックの黒さは想像していたほど強くない印象でした。それでも、2回塗装した後は、シルバー系は下地の違いが分かりにくくなりました。
それでは、ピックアップして紹介していきます。
塗装回数の違い
以下の写真では、並んでいる上段が1回塗装、下段が2回塗装になります。()内のアルファベットは上の全体図のA~B'に対応しています。
1.左からC8シルバー(A)、C159スーパーシルバー(B)、C104クロームシルバー(C)
クレオスさんのシルバー系へのクリアブラックは青みがかった灰色という印象です。全体的にクリアブラックが曇っているように見えました。スーパーシルバーのような明るいシルバーでは透明度は上がりますが、青みは倍増です。
2.左からC8シルバー(A)、C9ゴールド(D)、C10カッパー(F)
黒さ、という意味ではゴールドやカッパーがイメージどおりの印象になりました。1回塗装ではカッパーが、2回塗装ではゴールドが、下地がむしろシルバーに近い色味に見えるのが不思議でした。青系と黄色系で、緑色っぽくなったら面白いと思っていたのですが、意外な結果になりました。
※このゴールド下地の使い勝手は思うようになりませんでした。これについては後述します。
3.C8シルバー(A)、スタブラシルバー(O)、スタブラゴールド(S)
クレオスさんのC8シルバーと、ガイアさんのスターブライトシルバー、スターブライトゴールドを比較します。黒にも負けず、キラッキラです。スターブライトシルバーは青光りが際立ちます。スターブライトゴールドは黄色の主張を強く感じました。
4.焼鉄色(E)、黒鉄色(P)
内心一番期待していたアイアン系です。焼鉄色は黒鉄色に近くなり、黒鉄色は、もともとキャンディ塗装っぽく見えていたのですが、ちょっと足りないと思っていた黒みが増していい感じです。スターブライトアイアンのサンプルを作っていなかったことが悔やまれます。
5.アルティメットブラック(左)と黒鉄色+クリアブラック2回(右)
黒鉄色にクリアブラックを吹いた結果が最も黒を感じたので、アルティメットブラックのみの塗装と比較してみました。左がアルティメットブラック、右が黒鉄色にクリアブラックです。光の当たり方にもよるのですが、黒さだけならばアルティメットブラックの圧勝です。しかし、黒鉄色+クリアブラックにある、黒さの中にほのかに感じるメタリック粒子はいい雰囲気を出しています。写真だといまいちわかりにくいのが残念です。
番外編:メタリックブラックとの比較
ブラックのキャディ塗装は赤や黄色よりも感触がつかみにくかったため、メタリックブラックも試してみることにしました。キャンディ塗装の検証からは趣旨が外れますが、ご紹介します。
試したのは、雰囲気が良かったC9ゴールド+クリアブラック(写真D)と次の4色です。
(1)C28黒鉄色
(2)C9ゴールド+クリアブラック(写真D)
(3)Mr.ColorGX201GXメタルブラック
(4)スターブライトアイアン
(5)C61焼鉄色
<希釈>
メタリック塗料は原液:うすめ液=1:4、クリアブラックは原液:うすめ液=2:3です。うすめ液は各社のレベリングうすめ液を使用しました。
<素材>
ビルダーズパーツシステムベースを使いました。 台座、ステップ、背面、側板、武器ハンガーをそれぞれの塗料を使用して塗装しました。下地にはすべてガイアさんのアルティメットブラックを使用しています。
パーツごとに塗装し、完成したのがこちらです。
それでは、 パーツごとに紹介します。
(1)台座:C28黒鉄色
安定感のある落ち着いた鉄感がでました。スプーンに塗装したときよりもクリアを吹いた感が少なくなり、しっとりと油で磨いたような金属感を感じました。
(2)ステップ:C9ゴールドにクリアブラック
実は一番苦労したのが、今のテーマであるキャンディ塗装です。広い面では下地のゴールドの色味がなかなか消えず、何度もクリアブラックを吹き重ねるうちに、ゴールドの色味が消えるころにはメタリック感も消え、ただのブラックになってしまった感があります。明らかに厚く吹きすぎでした。なかなか光沢にも仕上がらず、キャンディ塗装の雰囲気を出すことができませんでした。大失敗です。
広い面へのエアブラシ塗装については、まだまだ研鑽が必要なようです。
(3)背面:Mr.ColorGX201GXメタルブラック
黒鉄色よりもメタリックの雰囲気が強く、重厚感があります。円形のネジ(?)の部分は、エナメル塗料のチタンシルバー、チタンゴールドで筆塗しました。ガンプラを作る際には、内部フレームのワンポイントに使う予定です。
(4)スターブライトアイアン
スターブライトアイアンはスプーンでサンプルを作っていなかったので、ここで試してみました。ガイアさんのスターブライト系は安定のギラギラ感です。写真だとシルバーっぽく見えますが、照明が当たらないともう少し黒みがかって見えます。照明が当たるとギラリと光るのがいい感じです。
(5)C61焼鉄色
ざらつきを感じさせつつも、落ち着いた鉄の雰囲気が感じられました。
ここまで使ってきた個人的な感想ですが、クレオスさんの塗料からは一様に大人の落ち着きと渋さを感じます。一方、アルティメットブラックといい、ガイアさんの塗料からは若さと勢いを感じます。企業ごとのスタンスのようなものが感じられて楽しかったです。
使用しているエアブラシセットは、エアテックスさんから出ている「メテオ」です。
次はクリアレッドとディープクリアレッドの赤さの違いを比べてみようと思います。