前回作ったメタリック塗装の上にクリアカラーで塗装して、キャンディ塗装にしていきます。下地とメタリック塗装については、前回、前々回の記事を参照してください。
〇キャンディ塗装のカラーサンプルを作る(1) 下地黒の塗装条件を検証
〇キャンディ塗装のカラーサンプルを作る(2) 金銀銅鉄系のメタリック塗料を検証
クリアカラーの塗装では、塗膜の厚さがそのまま発色の濃さに直結します。そこで、違いを分かりやすくするために濃い色のクリアカラーを選びました。
クレオスさんのGXディープクリアレッドを同社のうすめ液で希釈し、それぞれのメタリック塗装の上に塗り重ねていきます。なお、希釈率などの塗装条件は次の通りです。
◇希釈:原液2:うすめ液3
◇エアブラシ:エアテックス「メテオ」にて最大圧力、口径0.3mm
◇塗装距離:10cm程度をキープ
◇塗装回数の定義:スプーンの淵を軽く1周塗料を乗せ、その後全体に光沢がでるように吹き付けるまでの作業を「1回塗装」とした。「2回塗装」は同じ作業を2回繰り返し、ほぼ倍の塗膜の厚さを想定した。
全体比較
まずは全体を見比べてみます。A~B'の記号は前回のメタリック塗装の記号と一致しています。下地の条件をすべて書くと膨大な量になるため、後ほどピックアップして紹介します。
塗装前
前回紹介したメタリック塗料のサンプルです。ここにディープクリアレッドを塗り重ねていきます。
1回塗装
当然すべて「赤」なのですが、下地のメタリック塗装により全部見え方が違います。キャンディ塗装において、いかにメタリック塗料の選択が重要かが分かります。
2回塗装
吹き付け1回と比較すると下地色の影響は小さくなりますが、やはり少しずつ色味が違います。
こうして並べることで、好みとイメージに合致する色味のキャンディレッドを選ぶことができるようになりました。それでは、ピックアップして紹介していきます。
塗り重ね回数
左:塗装前、中:1回塗装、右:2回塗装(サンプルA)
写真左は下地のメタリック(クレオスC2黒、C8シルバー)です。写真中がそこへ1回ディープクリアレッドを塗装、写真右は2回塗装したものです。回数を重ねると発色が濃くなっています。キャンディ塗装では、クリアカラー層の厚さを考慮する必要があることが分かります。
下地黒の違いを比較(スーパーシルバー)
左:C2黒光沢、中左:黒サフ、中右:アルティメットブラック、右:C2黒梨地
ディープクリアレッド塗装前↓(左からBHMB')
1回塗装↓
2回塗装↓
クレオスC159スーパーシルバーを基準に、下地の違いを検証した結果です。一番右は、下地黒の梨地の影響がもろに出て、映り込んだ像がとても乱れています。表面のクリアカラーは、磨いてこそいませんが光沢に仕上がっているので、内側の表面の乱れが仕上がりに影響していることが分かります。
黒サフは思ったほど荒れた感じにはなりませんでした。明暗の差が付きにくく柔らかい印象になりました。
驚いたのは、アルティメットブラックです。メタリックの時点で明暗のコントラストが強くでるとは思っていましたが、2回塗装後にまで影響を及ぼしています。
メタリック塗料ごとに比較
1.左Aシルバー、中Dゴールド、右Fカッパー
ディープクリアレッド塗装前↓
1回塗装↓
2回塗装↓
ゴールドが若干オレンジがかって見えました。シルバーとカッパーは並べて比べるとシルバーの方が若干赤みが強いという程度で、大きな差にはなりませんでした。カッパーの像が乱れているのは、クリアカラーの塗装がしっかり光沢面になっていなかったためです。
2.左Aシルバー、中Bスーパーシルバー、右Cガンクローム
ディープクリアレッド塗装前↓
1回塗装↓
2回塗装↓
ディープクリアレッドを乗せると、一番深い赤に発色しました。スーパーシルバーやガンクロームで明暗のコントラストが大きく迫力があるように感じられました。一方、シルバーは光沢の中にもしっとりとした落ち着きがあります。使い分けると面白そうです。
3.左Aシルバー、中Oスターブライトシルバー、右Sスターブライトゴールド
ディープクリアレッド塗装前↓
1回塗装↓
2回塗装↓
クレオスさんのC8シルバーと、ガイアさんのスターブライトシルバー、スターブライトゴールドの比較です。ディープクリアレッド越しでもスターブライト系(以下スタ)は安定のギラギラ感です。スタシルバーはギラつきと明暗のコントラストが特徴的でした。スタゴールドはギラつきに加えてオレンジがかった赤になりました。なお、スタ系の下地はガイアさんのアルティメットブラックを使用しています。
4.左Dゴールド(C2黒)、中Jゴールド(C3赤)、右Sスタゴールド
ディープクリアレッド塗装前↓
1回塗装↓
2回塗装↓
ゴールド系を下地にディープクリアレッドを塗装した結果です。1回塗装では赤というよりオレンジに近い発色になりました。左は下地がC2黒、中は下地がC3赤にゴールドを塗装したものです。下地赤の場合、若干明暗のコントラストが淡く、一番明るい印象になりました。とは言え、並べれば違う気がするという程度です。スタゴールドは2回塗装にも負けない発色で、一番オレンジがかった仕上がりになりました。
5.左Aシルバー、E焼鉄色、右P黒鉄色
ディープクリアレッド塗装前↓
1回塗装↓
2回塗装↓
アイアン系の塗装です。左のシルバーと比較してみてください。焼鉄色はざらつきが強調されてくすんだ感じになりました。黒鉄色はもともとクリアコートのような仕上がりになるのできれいな光沢感は出ます。ただ、黒が強すぎるので1回塗装も2回塗装も大きな違いは感じませんでした。スターブライトアイアンはこの時点でスプーンを量産していなかったため、別の機会に試したいと思います。
以上、ディープクリアレッドを使ったカラーサンプルでした。並べてじっくり眺めながら、作りたい機体のイメージに一番ピッタリくる組み合わせを選びたいと思います。並べて眺めているだけでもビール2本は行けそうです。
次回は、メタリック塗装、キャンディ塗装の上にクリアを吹いてみます。
使用しているエアブラシセットは、エアテックスさんから出ている「メテオ」です。