そうねんのんびり創作記

のんびり作ったものをのんびり紹介します。

キャンディ塗装のカラーサンプルを作る(完) デカールと鏡面仕上げ

キャンディ塗装の検証が一段落したので、全要素を乗せたサンプルスプーンを作ってみました。特に、キャンディ塗装とともに試しておきたかったのは次の三点です。

・プラバン等を貼った凸モールドの見え方。

デカールとの相性。

・鏡面仕上げ

 

そこで、下の図のような断面のイメージでスプーンに加工と塗装をしていきます。

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モールドの深さは8回

スプーンに凹凸を作り、表面処理をしました。スプーンへのスジボリの深さは、軽くなぞって8回としました。

〈過去記事〉

〇キャンディ塗装のカラーサンプルを作る(8) 塗装に必要なスジボリの深さを検証

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縦に長く0.15mm幅で2本のモールドを入れました。この2本を以降「スジボリ」とします。このスジボリの間に短く3本モールドを彫ってあります。スプーンの先には1mm彫刻刀で彫りこみを入れました。また、中央の2本は0.6mmのスジ彫りカーバイトで彫ってあります。この3本を以降「凹モールド」とします。また、0.5mmのプラバンを貼り付けて「凸モールド」としました。

 

下地塗装

キャンディ塗装の下地となるメタリックを塗装していきます。希釈等の塗装条件等は過去記事を参照してください。

〈過去記事〉

〇キャンディ塗装のカラーサンプルを作る(1) 下地黒の塗装条件を検証

〇キャンディ塗装のカラーサンプルを作る(2) 金銀銅鉄系のメタリック塗料を検証

 

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アルティメットブラックを下地とし、その上からクレオスC8シルバーを塗装しました。

 

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さらにマスキングでエリアごとに別のメタリックで塗装します。

 

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C8シルバーの上にスターブライトゴールドを塗装したところです。下地が黒ではなかったのですが、問題なく発色しました。

 

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スプーンの両サイドにスターブライトシルバー、スターブライトゴールドを塗装しました。また、中央の四角いエリアはスターブライトアイアンです。C8シルバー部分はマスキングテープによって表面が荒れたのか、若干くすんでしまいました。メタリック系塗料はマスキングテープとは相性が悪いようです。

 

キャンディ塗装

ディープクリアレッドでキャンディ塗装を行います。塗装条件は過去記事を参照してください。

〈過去記事〉

〇キャンディ塗装のカラーサンプルを作る(3) ディープクリアレッドの塗り重ねを検証

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左が1回塗装、右が2回塗装です。下地のメタリック塗料により色味の違いを作ることができました。サンプルスプーンで作らなかった、スターブライトアイアン下地が力強いディープレッドになってくれました。

 

部分塗装・スミ入れ・デカール貼り

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タミヤさんのエナメル塗料、X10ガンメタルを使って凹モールドを部分塗装しました。希釈せず、面相筆で筆塗しています。1日乾燥させてはみ出した塗料を拭き取った後、クリアで全体を1回コートしました。

クリアの塗装条件については過去記事を参照してください。

〈過去記事〉

〇キャンディ塗装のカラーサンプルを作る(4) メタリックにクリアー

 

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クリア乾燥後、やはりエナメル塗料ガンメタルでスジボリにスミ入れを行いました。メタリック塗料によるスミ入れは、通常のスミ入れよりも濃い目の希釈で行いました。スッと流れるほど希釈してしまうと色が見えなかったためです。乾燥後、はみ出した塗料を拭き取りました。

 

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余っていたガンダムデカールから適当にデカールを貼り付けてみました。キャンディ塗装で全体が煌めいているだけに、この時点ではデカールの枠が不自然に浮き出して見えます。

 

クリア層でデカールの段差を消す

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デカールが乾いたのち、クリアを厚めに塗装しました。2回塗装を2重に塗装し、計4回分の厚さになっています。一見すると塗面は平らに見えるのですが、映り込んだ蛍光灯の像の輪郭が乱れており、細かい凹凸が無数にあることが分かります。

ちなみに、これだけの塗装の厚さになっても、モールドが埋まっている様子はありません。

 

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デカールの段差を2000番の紙やすりでならしていきます。「31」の下にデカールの段差のラインが見えます。

 

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紙やすりで削ると、デカールの段差が浮き出してきます。窪んだ部分にヤスリが当たらず、平らになっていない証拠です。このラインが消えるまで削っていきます。

 

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デカールの段差が消え、周囲との一体感がでました。

 

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「08」の周りに段差が残っています。このような段差を消しながら全体を削ってクリア層の表面を平らにしていきます。

 

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段差を削るとともに、全体が均一になるまでヤスリ掛けをしました。

 

鏡面仕上げ

キラッキラのスプーンを目指して、コンパウンドで磨いていきます。

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使用しているのはタミヤさんの粗目、細目、仕上げ目の3種類とワックスです。こちらのコンパウンドは水洗いで流せるので便利です。

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磨き作業にはメガネふきを使用しています。一枚を4つのエリアに分け、それぞれのコンパウンドを使い分けています。

 

 

 

磨き①:コンパウンド粗目

メガネふきに粗目のコンパウンドを少し(歯磨き一回分より少ないくらい)とり、ヤスリ掛けで表面処理した面をこすります。

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粗目で磨き、お湯で洗いました。このコンパウンドは洗剤等をつけなくても水洗いで落ちます。2000番のヤスリの跡はすっかり消えました。写真ではわかりにくいですが、全体的にまだくすんでいるように見えます。

 

磨き②:コンパウンド細目

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細目で磨きお湯で洗いました。肉眼でははっきりと色味がクリアになり輝きが増したのですが、写真では上(粗目)と何が違うのか、よくわからないのが残念です。

 

磨き③:コンパウンド仕上げ目

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仕上げ目で磨き、お湯で洗いました。細目と仕上げ目は肉眼でもぱっと見違いが分かりにくいですが、並べてみるとその差は明らかです。

 

磨き④:モデリングワックス

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最後にモデリングワックを少しつけて拭き取ります。しっかりと鏡面になっていることが確認できました。全要素を乗せたサンプルスプーンの完成です。

 

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デカールにかかる部分でも光源の像が歪みません。また、デカール自体の切れ目もほとんどわからないレベルで消えています。天井の蛍光灯がくっきりと映り込んでおり、鏡面に仕上がっていることがわかります。

 

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これで、キャンディ塗装の色分けについて目途が立ちました。スジボリの深さは十分でしたし、デカールの段差もきれいに消すことができ、大満足です。

 

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作成したカラーサンプルは100均で購入したケースに塗装条件ごとに整理してあります。塗装条件の記録とあわせて便利な資料ができあがりました。なにより、この作成過程でエアブラシを扱う経験値が得られたことが大きかったです。

 

以上で、キャンディ塗装のカラーサンプル作成を終えたいと思います。

 

さ~て、次は何を作ろうかな♪